小学校の教科書改訂について

小学校の教科書改訂が話題になっております。
ゆとり教育で,教科書が分厚くなるにもかかわらず,授業数はほとんど増えない,ということで,はたして消化できるのか,という声が聞かれます。
確かに現場の先生方が大変な思いをされることになると思います。
制度を変えることは悪くはないのですが,一度緩めたものをもとに戻すのは,なかなか大変なことだと思います。
教科書を分厚くすれば解決するものではないように思います。
ただ,教材をつくる側からすれば,教科書に多くのことが書かれれば,それだけ出題できることがらが増えるので,大変助かります。
何と言いましても,よりどころとなるのは教科書であるからです。
話は変わりますが,かつて,小数点の計算についてこんなことを聞いたことがあります。
小数第二位まで計算させようとすると,全員が計算するまで待つと,1題の計算だけで1時間の授業が終わってしまう。そのため,小数計算をさせないようにするのだと。
解決策が何だか本末転倒のような気がします。
小数の計算が必要であるという前提に立てば,習熟度別のクラスにするとか,計算できないものだけの補習をするとか,いくらでも方法はありそうなものだと思うのですが,できない者にあわせて,必要なものをやめてしまってよいものでしょうか。
また,計算ができないなら,電卓を使わせればよい,というのも何だかおかしな話のように思います。
昔は,学校でそろばんを習いました。そろばんは,暗算力ものばしますから,とても有効であったように思います。
いまは,そろばん教室もめったに見なくなりました。
計算力よりも思考力というのは,言葉としては説得力がありますが,はたして計算がまったくできない者の思考力が伸びるのでしょうか。はなはだ疑問です。
同様に,漢字力より読解力としたらどうでしょうか。
漢字がほとんど読めない者が読解力を高めていけるでしょうか。
まだ,新しい教科書の見本は手にしていません。
しかし,ベースになるべき基礎力をおろそかにしているようでは,教材作成者としても,困ったことになります。
ともかくも,見本を見てから,また思いを綴りたいと思います。