私立の記念受験について

私が学生のころ,記念受験がやたら多かったように思います。
記念受験は,文字どおり,記念に受験しておく,というもので,受からなくてもともとという思いで受験するものです。
受験料だってばかにならないのに,どうしてこんな無駄なことをするのかという思いでいましたが,宝くじを買うようなつもりで受験していたのかもしれません。
ともかも,私にとってはなぞでした。
ところが,ある日,ランクがそれほど高くないある大学生が「早稲田大を受けたのは,早稲田を第一志望にしていた,と言いたいためさ」という声を聞いたとき,疑問がとけました。
そうか,この大学が第一志望ではなく,あくまでも難関校が第一志望であることを言いたいためのものだったのだな,とようやく合点がいきました。
人それぞれの価値観があり,それをとやかく言うつもりはありません。
ただ,不景気になり,受験料も高くなった今,こうした理由だけで受験することは難しくなってきたように思います。
それに,いまは多様な入試が実施されるようになり,得意の1教科のみで受験も可能になっている大学もあります。
入試制度もどんどん変わっていきますし,定員割れをおこしている大学も多くなりました。
また,海外からの留学生も多くなりました。
さらに,大学進学率が50%を越した今,何が何でも大学進学ということよりも,他の価値観を求める人も増えてきつつあるように思います。
今では,実力とかけ離れた大学を,万が一受かるかもしれない,という思いをもって受験しているのでしょうか。
もし,そうであるなら,私はそれは記念受験とは呼ばないと思います。
可能性がある以上は,挑戦だと思います。
経済的なゆとりがあるなら,挑戦はけっして悪くないと思います。
しかし,スポーツで強豪相手にがむしゃらにぶつかっていくのとは,どうも同一には考えられません。理屈から言えば同じなのかもしれませんが…。
受験には,計算が働いていると思ってしまうからでしょうか。あるいは,それは穿った見方なのでしょうか。
みなさんは,いかが思われますか。