幼児虐待と教育について

最近,幼児虐待の記事を多く見かけます。
高度成長期の前までは,子どもに十分なことをしてあげたくてもできなく,やむなくひもじいい思いをさせることはよくあったかもしれませんが,最近はそうではなくて,親の愛情不足からくる虐待になっているようです。
確かに不景気になれば犯罪が増える傾向がありますし,人々は心の余裕をなくしているのかもしれません。
それにしても,幼い子どもを犠牲にするというのは,およそ考えられないことです。
傍から見る以上に,複雑な事情があるのかもしれませんが,私には考えられないことです。
不景気のせいで,子どもにかける教育費も削られるようになっているらしいのですが,子どもの教育費は聖域となっていたはずなのに,ついにここも崩れてきたのか,という思いです。
教育も含めて子どもの養育についての考えは,人それぞれですし,経済的な事情も異なるでしょう。何も,お金をかけるだけが愛情ではないと思います。ただ,子どもが一人前に成長するために,心身ともに見守り,保護するのが親のつとめではないかと思います。
虐待をして死に至らしめるのは論外ですが,子どもの可能性や希望をつぶしてしまうのも,やはり親の責任放棄のように思えます。
学問により身を立てたいと願うのであれば,それを何とか実現させてあげるのが,親のとるべき道であるように思います。
高校無償化がさかんに言われるようになっていますが,私が子どもの頃は,公立高校の数が非常に少なく,ほとんどの人が私立に通うという状況でした。そして,授業料の格差を埋めるために,公立の授業料を上げろ,という運動がおこっていました。
私立を下げずに公立を上げるというのは,子ども心にもおかしい,と思っていたのを覚えています。
ただ,それほど公立高校に通える子どもが少なかったということの表れかもしれません。
今は,公立高校の数も増えて,学校を選ばなければ公立高校に通うことができるようになりました。つまりは,教育費をそれほどかけなくても,高等教育を受けさせることができるようになっています。
それなのに,奨学金も遊興費に使ってしまう家庭や,はたまた授業料が減免されているのに,退学させてしまう家庭があとを絶ちません。
子ども手当てや支給した授業料を遊興費に使ってしまうのではないか,と懸念されていますが,確かにそうした家庭も多くあるのでしょう。
信じられないことですが,数多くの幼児虐待の記事を見るにつけ,子どもの教育や将来のことを何ら真剣に考えない家庭が多くあることも,頷くことができます。
かつて教育立国とまで呼ばれた日本ですが,教育発展途上国となってしまうのでしょうか。
大学進学率は,1970年の23.6%から2008年には55.3%にまで上がりました。
しかし,教育機関に対する支出の対GDP比では,日本は4.9%で,これは先進国中で最も低いランクの水準です。韓国の7.4%に遠く及びません。しかも,日本は私費負担が約3分の1を占めており,公的負担だけで比較すると,先進国中で最下位ではないかと思われます。
確かに,幼児虐待というのはレアな例かもしれません。しかし,子どもの可能性や希望を失わせるような”虐待”は,あまりにも多くなされているのだと思います。
本当に嘆かわしいことだと思います。
みなさんは,いかが思われますか。