素材文のタブーについて

国語科の教材で使用する素材文には,タブーとされる内容のものがあります。
例えば,特定の宗教やその理念などを扱ったものや,身体障害者に関するものなどがあてはまります。内容的には問題がなくても,ネガティブなものや反社会的なもの,自殺を扱ったものなども,やはりタブーとされます。
とは言っても,線引きが難しいところはあります。かつてベストセラーとなりました「五体不満足」などは,意見が分かれるところです。あるいは,ヘレン・ケラー女史に関する文章はどうなのだ,となると,難しい判断になります。
ですから,私は,内容的にどうとかいうことではなく,読んで不快な気持ちになるかどうかが決め手であるように思っています。
しかし,これについても反論がありそうです。
不快に思うかどうかは,人によってまちまちだと。
確かに,そうなのですが,結局は,ほとんどの人が不快な思いを抱かないであろうと思われる内容ということになるのでしょうか。
どれだけハートウォーミングな話であっても,それによって傷つく人や不愉快な思いを抱く人がいると考えられるなら,それは使えない文章となります。
こうした制約のある中で,「良い文章だ」と思ってもらえる作品を探します。
ただ,困ったことに,そうした文章はかなり限られており,すでにどこかの入試問題で使用されていることが多いのです。
そのため,別の箇所で出題できるところがないかを探したり,同じ著者の別の作品を探したりします。
こうして,一題の読解問題が出来上がるのです。
もし,今後,国語の読解問題に触れる機会があれば,こうしたことを頭の片隅において見てもらえると大変嬉しく思います。