中学受験における社会科の扱いについて

中学受験において社会科にどれだけの比重をかけるかは,きわめて重要な問題です。
特に,関西地区では,これによってかなり合否に影響をあたえることになります。
ご存知のように,兵庫県下の灘中学や甲陽中学などの難関校では社会がなく,国語・算数・理科の3教科です。しかし,他府県の難関校は社会もふくめた4教科となっています。
そのため,灘や甲陽に絞って,早い段階で3教科に力を集中させたいが,しかし,統一試験日の前に奈良県などの4教科試験の学校の入試があり,それに合格しようとすれば社会も勉強しておかなくてはならなくなります。
実際,最難関の灘中学に絞れるほどの力のある受験生は,めったにいるわけではありません。
そうなると,社会も勉強しておいたほうが良いのか悩むことになります。
しかし,そうした受験生を取り込もうと,3教科での受験も認めるようにしたり,社会はわずかな学習でも点差が開かないような問題にしたり,という傾向になりつつあります。
ならば,早期に社会科を外したほうが,やはり有利なのでしょうか。
結論から言えば,受験を突破するには,社会は早期に外したほうが有利だと思います。
その分を国語や算数,理科に力を入れたほうが,点数が伸びやすいのは確かです。
また,読解力や理解力を伸ばせば,社会は自習でも伸ばすことができるようにはなります。
ただ,本来,社会科というのは,社会のことを知り,社会生活を円滑に送ることができるように勉強するためのものだと思います。
その意味では受験教科になくても,社会を勉強したほうが,バランスの取れた理解ができ,人間性を高めることになります。
また,社会常識というのも身につきます。
ですから,もし受験のために社会を外したのであれば,趣味的でも良いので社会科にも接しておいてほしいと思います。
社会科は,知識だけで点数が取れるととかく受験では敬遠されがちですが,どこかの時期に興味をもって学習に取り組むべき教科だと思います。
さて,いろいろと迷わせるようなことも申し上げましたが,今年の中学受験の塾別の合格者数を見る限りにおいては,早期に3教科に絞っている塾のほうが合格実績を伸ばしていることが顕著に見られます。
この実績を見る限りにおいては,早期に3教科にしぼるほうが,難関校に受かりやすいと言えるでしょう。
ですから,目的のために割り切るならば,躊躇なく決断すべきです。
いつまでも中途半端な態度のままでいると,よくない結果になる危険性が高まります。
また,早期に決断するためには,やはり早期に志望校を決めたほうが良いだろうと思います。
しかし,最後に一言いわせてもらうなら,これは受験を突破するために行うことであって,けっして社会科が必要のない教科であると申しているわけではないことだけは,是非ともご理解ください。