小論文の書き方について(ネタ編)

小論文の書き方について,内容的なことにもう少し触れておきたいと思います。
印象度の強い文章を書くには,やはり持ちネタを多く持っている必要があると思います。
例えば,次のようなエピソードがあったとします。
① インドの貧しい村で,外で洗濯をしていた貧しそうな女性に対して,レポーターが尋ねます。
「見たところ家財も電化製品も何もなさそうですが,それであなたは幸せですか」
「ええ,何もないからこそ幸せなのです」
② 同じくインドへある商社の社員二人が,靴を売るために調査をしに出かけたときの話。
「だめだ。インドではみんな裸足で歩いている。靴なんか売れるわけがない」
「おお,すばらしいではないか。これならみんなが靴を買ってくれる」
さて,この二つのエピソードからどのようなことを感じましたか。
①は精神的な面での深い意味を含んでいるように思います。「何もないからこそ幸せ」というのは,無欲の中にこそ幸福がある,という考えを捉えることができます。これに対して,自分の態度を賛否の両面におくことが可能でしょう。無欲=幸福を是とするか否かということです。つまりは,物質よりも精神作用のほうがより重要であるかどうかという論点を捉えることができるのです。
②は同じ立場であっても別の角度から見ることができることの例となっています。物の見方には両面があるのだという論点を捉えることができます。
こうしたエピソードを自分の持ちネタとしていくつも持つようにすれば,さまざまな論点を自分で見つけていくことができるようになります。
実際に,小論文でこうした例を挙げるのも良いでしょうし,論点だけを示しても良いでしょう。それは,書く字数によっても異なってくることでしょう。
ともかくも,自分なりの視点を入れることによって,厚みのある文章にすることができるようになります。
さて,そのネタを仕入れるには,常にネタを得ようとする姿勢が普段から必要となります。
何に対しても興味をもち,しっかり物事を見つめることで,見つけていくことができると思います。
まもなく,受験シーズンに突入します。
こんなことも参考にしながら,小論文の練習を積んでほしいと思います。
老婆心ながら言っておきますが,ネタは自在にアレンジできるようにしておいてください。
いかなるテーマであってもインドの例があてはまるわけではありませんので,物質と精神作用に関わるものを論じたり,別の角度から物事を捉えることに関して論じたりするときに,一つの視点の提起としてもらえば良いと思います。
もう少し入試に近づいてから,実際の細かい文章の書き方については述べたいと思います。