派遣村の酒・タバコ問題について

派遣村で就労活動費として支給されたお金で,酒・タバコを買っていたことが問題となっています。
6000万円以上の税金が無駄に使われたと憤る方も多くおられます。
私が中学・高校生のころは,不良=タバコ,という思いがあり,当時のほとんどの人も同じ認識をもっていたのではないでしょうか。
酒も同様で,未成年のうちから飲むというのは不良の始まりのように受け取られていました。
昨日のニュースで飲酒をして気分が悪くなり,ホームで線路に向かって吐いていたときに電車が入ってきて頭を打って死亡した高校生のことが報じられていましたが,今に始まったことではなく,昔からこうしたことはあったように思います。
ただ,今は昔よりも大胆というか,罪悪感がないというか,同じ行為をしていても質が変わってきているように思います。
さて,派遣村はどうかというと,もちろん未成年ということではありませんから,飲酒やタバコそのものは法律に触れることはありません。
みなさんが問題とされているのは道義的なものです。あるいは,せっかくのチャンスを自らの手でつぶしてしまうことに対するやるせない思いでしょう。
もっと言えば,内心では同情し,応援していた思いが裏切られたような気持ちになったのではないでしょうか。
その根底には,酒・タバコは不良の始まりであるという拭い去れない思いがあるのではないでしょうか。
一日の労働を終えて,晩酌を楽しむ人には誰も何とも思いません。タバコにしてもそうです。
しかし,派遣村の人には憎悪の念を抱きます。
自分で稼いでもいないのに,税金から支給されたお金で酒やタバコを買うことが腹立たしい。
こちらはビールを発泡酒にして,タバコを吸う本数を少なくしているというのに,そうして納めた税金が,こんな使われ方をすることが我慢できない,ということなのでしょう。
そして,こんなことをするような人だからこそ仕事をなくし,脱落してしまうんだ,と思っていることでしょう。
私も,同じ思いでいます。
ただ,人間は弱いものですから,現金を支給すればどうなるかは容易に想像がついたのではないかと思っています。
かつて,ある企業の人事担当者が語っていたのを思い出します。
「一流大学を卒業した人がみんな知識が豊富で,すぐれた能力をもっているとは限りません。それでも,一流大学の卒業生を獲得したいのは,彼らは全員,自らを律して努力することができる人間だからです。受験を勝ち抜くには,人一倍の努力が必要だからです。」
これとは逆のパターンになりますが,肥満の人は採用しない企業があります。また,北陸のある企業では,食事の遅い人は採用しない,というのを聞いたことがあります。
いずれも,自らを律する力が不足していると考えているのが理由です。
派遣村で酒を飲んで騒ぐ人も,自らを律する力に欠けていると思います。
チャンスは,そうそうめぐってくるものではありません。
勉強=根性というものではありませんが,スポーツと同様に,勉強も根性が必要なのかもしれません。
そう言えば,昔はどこでも土産物屋さんにあった「根性」や「忍耐」の字が入った置物は,今は見かけなくなりました。
五重塔の下に「根性」と書かれていて,当時は何とも思わなかったのですが,よくよく考えてみれば,修学旅行のお土産で,なぜ「根性」や「忍耐」が書かれているのか,よくわかりません。
しかし,今は,こうした置物を派遣村の人に持ってもらいたいと切実に思います。
そして,それを見ながら少しは根性を出そうよ,と言いたい気分です。
みなさんは,いかが思われますか。