編集の仕事について(続き)

編集の仕事について,具体的に少しお話しましょう。
編集の仕事は,まず原稿内容をチェックし,出題予定内容に適合しているか,出題内容は適切か,紙面に収まるか,などを検討します。これを原稿整理と呼びます。
最近は,手書のものが少なくなり,ワードで入力するのがほとんどとなりましたので,字詰めや行数を数える必要がなくなりましたが,手書の原稿の場合には字詰めや行数を数える必要があります。(専用の原稿用紙に書いてあっても,追加や削除などがあるからです。)また,手書の場合にはゴシックなどの書体の指定も必要となります。
設問のリード文などの言い回しについても,この原稿整理のときに統一します。
原稿整理をきちんとしておけば,あとの校正が楽になります。
なお,図版は別途に作成していきますので,その図版の大きさや内容などについても指示を入れます。
こうして組版にまわり,初校,再校,三校…と進み,校了となります。
内容の検討(実際に問題を解いてみる)は,再校で行うことがほとんどです。
だいたい,初校では文字の誤植や脱字,体裁的なものを主に見て,再校で内容を検討し,三校でそれらの修正を確認し,新たな修正があれば四校で確認するというように校正作業が進みます。
最後に,書籍などはフィルムや青焼きで内容を確かめますが,多色刷りの場合,この段階で色が適切になっているかどうかもチェックし,印刷・製本に入ります。
特にテストなどは,言い回しの不適切や誤字などが一箇所でもあると問題が解けないことになり,問題不備となります。
こうした事態を防ぐためにも,何人もの目で何回も繰り返しチェックすることにしているのです。
テストや学参書籍は,だいたいこのような流れで,どの会社も作業を行っています。
原稿執筆は,こうした作業がしやすくなるように考慮しながら行います。
ただ,何よりも優先されるのは出題内容です。
どこかの入試問題をそのまま流用したような問題を出題しているようなケースが,たまに見られますが,こうしたことは出題者として,してはならないことだと思います。
何年か前のニュースで,他の入試問題をそのまま流用して出題した学校があって話題となりましたが,出題者として最も恥ずべきことだと思います。
ただ,あまりオリジナリティにこだわると,重要事項を当り前に問えなくなってしまい,客観的な実力の評価ができなくなってしまい,評価テストとしての価値を失ってしまいますので,これは注意が必要です。
個々の作業での注意点などについては,いずれまた少しずつ話していくようにします。
それまで,お待ちください。