ゆく年くる年について

いよいよ2010年がスタートしました。
今年は,平城京遷都1300年の節目となっています。
日本は,古代の文化や政治などから何かを学んでいくのでしょうか。
さて,年末恒例となっています「ゆく年くる年」ですが,今は厳密にしていないようですが,かつては新年を迎えるまでは寺院,新年を迎えてからは神社を映すということが,暗黙の了解となっていたようです。
日本人にとっての年末と年始のイメージが,こうさせていたのだと思います。
かつて山本七平氏が主張していたように,日本は日本教という独自の宗教観があって,年末にお寺にお参りし,初詣を神社で拝んでも何らおかしいという感覚はありません。
もっと言うなら,結婚式は教会で,葬式はお寺で,そして家には神棚が祀ってあるという家も多くあります。
父は先祖代々のお墓を守り,母は新興宗教の信者になり,長男は単身アメリカに移ってクリスチャンとなり,長女は嫁いだ先の宗派に属し,次男は別の新興宗教の青年部で活躍する,などという家があっても,さもありなん,と思ってしまいます。
こうしたことも含めて日本教なのだと山本七平氏は述べていました。
雑多の宗教や宗派が入り混じり,自然に溶け合っている日本教の信者だからこそ日本人の感情に適合し,そして年越しにさまざまな寺院や神社,教会が紹介されても何ら違和感なく見ることができるのでしょう。
しかし,海外の人が見たら異様な光景なのではないですか。
今年の「ゆく年くる年」もこうして静かに過ぎて行きました。
まだ,イスラム寺院ヒンドゥー教の建物やゾロアスター教の教会や歴史の浅い新興宗教の建物が紹介されていないだけましか,と思いながらも,いやいやそれらの建物が紹介されても何ら抵抗はないかもしれないな,と思ってしまいます。

ともかくも,一年が始まりました。
今年一年,みなさまにとって幸多い年となりますことをお祈りいたします。