百人一首について

正月にかるたをする家庭は,ほとんどないらしい。
とても寂しいことです。
私が小学生の頃は,学校で百人一首を覚えさせられました。
本当は,好きな10首を選んで覚えればよかったのですが,どうせなら百首全部を覚えようと必死に頑張りました。
この頃に,こうして叩き込んだものは,今になっても覚えていますし,その後,古典に取り組むときに,非常に役に立ちました。
小学生のときは,意味もわからず,読み方もよくわからないものも多かったので,
 久方の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ
という紀友則の歌を,当時は,「ひさかたの/ひかりの/どけき/はるのひに…」と区切って読んでおり,その後ずうっと「どけき」って何だろうと素朴な疑問をもっていました。
そして,同じ日本語なのに,まったく意味が想像できないような言葉もあるのだ,と独りで勝手に思い込んでおりました。
これが「のどけき」なのだとわかった時には,何か咽喉にひっかかっていたものが取れたような,とてもすっきりした気持ちになったのを覚えています。
そして,恐らくその頃からでしょう,古典に興味を持つようになったのは。
かつて高校でかるた大会をしたときには,「む」の一字決まりなど,初句が読まれる間に札を取ろうと,必死に練習をしました。
こうしたことを今ではしているところが少ないのでしょうか。
日本のいにしえ人の心に触れる機会がなくなりつつあるのは,とても残念なことです。
みなさんは,いかが思われますか。