クレーマー対策について(3)

別のケースを考えてみましょう。
単なるクレームではなく,アドバイスと言ったほうがよいものも時にはあります。
的外れのものもありますが,きわめて本質をついているものもあります。
例えば「入試問題に比べて問題数が多い」「領域ごとの出題比率に偏りがある」「時間内でとうてい解けない」「問題が難しすぎる」「もっと○○の分野を出題してほしい」「漢字や文法の問題は必要だ(あるいは不要だ)」「図や資料が見づらい」などというものです。
こうした声は無視されることが多いのですが,きわめて重要な要素を含んでいるように思います。
ふつう模擬テストは,入試問題(公立高校の入試問題)に比べて,問題数を多くしていることが多くなっています。また,想定している平均点も,実入試の平均点よりも低くなっています。
つまり,入試に比べて問題数が多く,出題レベルも難しくなっているわけです。
これは,実力テストとしての性質をもたせる狙いがあったり,受験層がある程度均一になっている(成績が上位の者が中心であるなど)場合であったり,いろいろなケースが考えられますが,何より志望校の合否判定に用いるために,成績分布をきれいにそろえなければならないのが大きな理由となっています。
また,入試によっては特定の分野の出題比率が高くなっていても,模試ではなるべく均一な出題比率にしています。逆に,入試でほとんど出題されないような分野や領域であっても出題します。
評価テストとしての性質をもつため,これは仕方がないことなのです。
しかし,これに胡坐をかいて,出題分析をきちんとしないと,よくないことになりかねません。
実際に,出題がいびつになっていることもままあるからです。
問題が難しすぎるというのも,確かに入試問題の出題レベルと乖離していることもよくあります。
つまり,上記の指摘は,すべて真摯に受け止めなければならないものばかりなのです。
けっして聞き流してはいけないクレームだと思います。
こうした声は小さいものが多く,また,出題ミスとは言えないので,ついつい無視しがちですが,それは傲慢以外の何者でもないと思います。
消耗品などの商品とは異なって,作成者に驕りがあるため,声の大きなものにしか耳を傾けようとしない傾向がありますが,やはり商品であることを自覚しないといけないと思います。
本当に出題が適切であったかどうか,よくよく検討しないと,いわゆる悪問を提供することになりかねません。
指導する側にいる,あるいは,いたが故に,商品をつくっているという意識が希薄なのですが,そうであっては,受験生のためにならないものとなる恐れがあります。
理不尽なクレームは無視してもかまいませんが,これらの声は真摯に受け止めるべきだと考えています。
みなさんは,いかが思われますか。