クレーマー対策について(1)

私たちが子どもの頃は,教えられる側が教える側に文句を言うなどということは考えられませんでした。
それだけ,親の高学歴化が進み,先生を尊敬の対象としなくなった現れなのかもしれません。
クレーマーは,どの分野にも飛躍的に増大し,いまや教材制作の分野にも及んでいます。
模擬テストを受けたときに,それが不出来だと「実力不足」や「努力が足りない」「弱点を克服」などという言葉が頭をよぎったものですが,今は,「問題が悪い」「きちんと教えてくれなかった」と考え,不出来なのは自分のせいではないと考える子どもが増えたように思います。
思うだけなら良いのですが,その言い訳を親に話し,親が模試の実施会社や教師にクレームを言うということが,顕著に増えているのです。
教育の現場での,あのモンスターペアレントぶりを考えれば,それは当然と思われるでしょう。
先日も,学校側に10万円の賠償請求をしたという話が報道されており,校長先生の中にはそのためにノイローゼになっておられる方もいると報道されていました。
もちろん,すべてを是とする必要はなく,学校側が本当に理不尽なことや,極端な差別指導などをした場合には,断固として思いを訴える必要はあると思います。
しかし,わが子可愛さのあまりの暴走はいただけません。
ましてや,義務教育で無償で教育を受けているにもかかわらず,自分がスポンサーでもあるかのような振る舞いはしてはならないと思います。
さて,こうした親たちは,何でもかんでも他人のせいにしますので,先ほど述べたように,テストの不出来は問題が悪いと考えます。そして,そもそもきちんと教えてくれなかった先生が悪いという発想になります。
それで,つまらない言いがかりを先生に言い,苦情を言われた先生がテストの作成者に文句を言うという図式が出来上がってきたのです。
その攻防に使われるのが教科書です。教えた教えないは水掛け論になりますから,教科書にもきちんと説明されているかどうかが大きなポイントになっているのです。
確かに,テストを現場の先生が作ることが少なくなり,業者が作ることが多くなってしまったのも大きな原因にはなっています。
先生の指導とは関係なくテスト問題が作られていますから,授業内容とずれていることもあるでしょうし,場合によっては授業で教えたことと違うことが出題され,いったいどっちが正しいのか,ということもあるかもしれません。
こうした事態を防ぐには,かつてのように先生が授業内容に沿って,ご自身で出題されるのがベストです。少なくとも,定期テストや校内実力テストなどは,業者に頼るべきではありません。
もっとも,その正論を通してしまうと,私たち教材作成者は飯が食えなくなってしまうのですが…。
さて,ではクレーマーに対して,どのような対策が立てられるのでしょうか。
しばらく,それについて検討してみたいと思います。