英会話を習いたい理由について

英会話を習いたい理由を聞かれると,かつては,「外国人に道を聞かれたときに答えられるようにするため」というのが,常にトップだったように思います。
こんな一生のうちに数回あるかどうかわからないことのために,高いお金を出して習おうという気持ちは,どうもよく理解できないと思う人は多いかもしれません。
しかし,これは日本人のとても大事な面を表しているように思います。
ここは日本なんだから,日本語で聞けよ,と冷たくあしらうのではなく,高額の費用を払ってでも,何とか相手にあわせてあげようとする,日本人独特のやさしさの表れのような気がします。
そう言えば,日本に来て列車の中にカメラを忘れた,あるフランス人がいて,どうせ見つかることはないだろうと思いながらも届けると,すぐに手元に戻ってきてとても驚いたという話を聞いたことがあります。特に,高級なカメラであっただけに,まず戻ってくることはないとあきらめていたそうで,驚くと同時に,日本人の心根に触れて,涙が止まらないほど感動したそうです。
何かを始めるきっかけは,人それぞれですし,どういうふうにしてモチベーションを高めるかは,それぞれで考えればいいと思います。
ただ,そのきっかけが,自分ではなく,だれかのためであるというのは,とても素敵なことなのかもしれませんね。
もしかしたら,一生涯そんな機会がないかもしれなくても,それでも懸命に勉強するのは,すばらしい姿なのかもしれません。
今は,ドライです。自分にしか目のいっていない人が多すぎるように思います。日本はアメリカの属国ではないんだ。日本に来た外国人に何で英語で話さなければならないんだ,というのは,きわめて正論です。しかし,何だか寂しい気がします。
最近,会った外国の方たちは,いずれも日本語で話そうとしましたし,中にはとても日本語の上手な方もおられました。そんなときは,なるべくなら日本語でゆっくり話をするようにしています。これが外国でならどうでしょう。見知らぬ外国へ行って,現地の言葉がよくわからないときに,日本語で話しかけられたら,どんなに嬉しく思うことでしょう。
やはり,私は,英会話を習う動機は,ビジネスや就職や自分の旅行のためではなく,「外国人に道を聞かれたら答えられるようにするため」がトップであってほしいと思います。
そこに日本人のやさしさが凝縮されていると思うからです。
みなさんは,いかが思われますか。