フェイク食材について

いくらやコーヒーフレッシュ、ふかひれなど、人工的につくり出している食材がたくさんあります。
ほとんど、見た目も、味も、食感さえも、本物と変わらないほど精巧にできたフェイク食材が、それとは知られないまま、広く出回っています。
以前に、ある論説文で、これほどのものをつくり出せる技術があるなら、本物の真似をしないで、まったく新しい食材をつくり出せばいいのではないか、という文章を読んだことがあります。しかし、その文章では、食材が受け入れられるには気の遠くなるほどの時間がかかるため、本物の評価に乗っかったフェイク食材の道を歩んでいるのだろうと考察していました。
確かに、フェイク食材を本物と思って食べていたなら、それはよくないかもしれません。
ただ、食べるほうでも、それをフェイクと知って食べるのであれば、問題はないのではないでしょうか。
高校のときの生物の先生が「インスタントラーメンとふつうのラーメンとは、別の食べ物だ」と主張しながら、「インスタントラーメンを愛する会」を組織されていましたが、別の食べ物として、それを愛するのであれば、何ら問題はないですよね。
問題は、本物だと見せかけること、消費者を騙そうとすることだと思います。
食品偽装に関わらず、消費者を騙そうとするのは許せません。
「加工いくら」「加工ふかひれ」だと堂々と言えばいいのです。
そのかわり、本物の3分の1の値段で食べられますよ、さあ、買ってちょうだい、と宣伝すればいいのです。中には、本物にはない食感があって好き、などという人も現れるかもしれません。
フェイクやイミテーションが悪いわけではありません。その価値を認めさせればいいのです。プロの鑑定家が見ても、ほとんど本物と区別がつかない人工ダイヤモンドがあって、それが本物の10分の1の値段で買うことができるなら、それは買う人に判断を委ねればいいと思います。その価値を認め、納得して買えば何ら問題はないと思います。
成型肉から食中毒をおこした記事が新聞に載っていましたが、安価の牛肉は、なぜ安価なのかを明確にし、よく火を通さないと危険であることが明言してあれば、騙されたとは思わないでしょう。
世界的に有名な画家がいて、その画家が若かりし頃、誰かの模写をしたとした場合、その絵をどう評価するかは、人それぞれだと思います。模写をした絵のほうが本物よりも良いと思う人もいるかもしれません。あるいは、そんな絵は価値を認めないと思う人もいるかもしれません。物の価値は相対的に決まるものなのです。
工場で野菜を生産する時代ですから、もはや少々のものでは驚かなくなっています。
これほど、本物そっくりにつくったよ、と自慢すればいいのではないですか。
むしろ、それを見るのが楽しみです。
みなさんは、いかが思われますか。