社会科の教科書について

ゆとり教育を目指して、ようやく教科書が分厚いものに改訂されるようです。
教材作成者としては、大変喜ばしいことです。
現行の教科書は、あまりにも記載事項が少なく、またページを少なくするために強引に複数の内容をつなぎ合わせているため、生徒が誤解しやすい記述も多く見られます。
それを補うのが、現場の先生方なのですが、困ったことに、先生方の中でも誤解して覚えてしまっておられる方もいるようです。
ただ、教科書が分厚くなっても、授業時間数が変わらなければ、かなりの消化不良を起こす恐れがあります。
教科書に記載されていることをすべて教えなくてはと思い、丁寧に授業をすればするほど、まったく進まなくなります。
私は、教科書の分厚さに関係なく、教えるべきことを教えればそれで良いと思っています。
今までも、補わなければならないところが多かったわけですし、教科書が分厚くなれば、生徒は教科書を読むだけで理解できることも多くなりますから、逆に、教科書で詳しく説明しているところは、それほど力を入れて教える必要がなくなるように思います。
最近は、変な教科書崇拝者がいて、教科書に載っていないことがらが出題されると、目くじら立ててクレームをおっしゃる方がおられますが、例えば、「三権分立」について書かれているところで、「三権」とは何かというのが書かれていないと、その時点では生徒は「三権」が何であるかを知らないという主張は、あきれて物が言えません。「三権」が何であるかを言わないで、どうやって「三権分立」の説明をするのか、逆に尋ねたくなります。教科書は、あとで詳述しているがために、その時点での説明を省いているに過ぎません。
これに限らず、あらゆる点で同様のことが起こっています。
教科書が分厚くなるのは、こうしたクレームが少なくなるので嬉しいのですが、しかし、教科書通りに指導することを何よりも是と考えておられる方にとっては、かなり厳しい内容になってしまいそうで、それが心配です。
長らく社会科の指導にも携わってきた者としては、期待と不安が入り混じっております。
みなさんは、いかが思われますか。