国語の素材文の著作権について

毎年のようにテストやテキストに作品を無断で使用したとして,裁判所に訴訟をおこされる出版社等が見られます。
これほどやかまし著作権について騒がれているのに,いまだに何ら対策を講じていないのに問題はありますが,しかし,私個人としては,無断使用者に対して,心情的には非常に同情できるところがあります。
とても,心を動かされた作品があっても,作者の連絡先がわからないと,その時点で,その作品を使って出題することを諦めます。
しかし,その作品を多くの人に見てもらいたいという思いは,強く残ります。
文章や詩などの著作権は,音楽の著作権と違い,著作権管理団体がすべての著作権を掌握しているわけではないため,使用者側が,連絡先を探さなくてはならないのが,大きなネックになっています。
無断使用をしたくてしている人は,ほとんどいないと思います。
教材で使用する作品使用料は,それほど高くなく,むしろ,連絡先を探す事務作業の人件費のほうが高くつくくらいです。
また,入試問題は,著作権の適用外ですが,入試問題の二次使用には適用されません。
そのため,入試問題集で掲載できない作品も生じてきます。
こうした制度の趣旨はよく理解していますが,しかし,これは本当に子どもたちや作者にとって良い制度となっているのかと疑問を抱きます。
例えば,文化庁などに作品使用料を預け,作者個人にお渡しできるものはお支払いし,それ以外は,そのお金を国の文化の発展に使うというような形にして,もっとさまざまな形で世に作品を発表できるしくみが必要なのではないでしょうか。
作者自身が,みずからの著作権を守る努力をするのも大変ですし,著作権侵害の訴訟をビジネスにしているような,よからぬ団体もあると聞きます。
訴訟をおこした作者の作品は,どことも使用を避けるようになりますし,結局,作品が多くの人の目に触れる機会を奪っていくことになります。
こうなると,本末転倒でしょう。
模擬テストやテキストなど,教育教材での使用がしやすくなるように,国にもっともっと考えてほしいと切に願っています。
みなさんは,いかが思われますか。