社会科の時事問題について

師走に入ると,毎年,一年を振り返って「今年の10大ニュース」などといった話題が囁かれるようになります。
それとともに,受験関係者は,入試が近づいてきて,時事問題で尋ねられそうなことがらをあれこれと考えるようになります。
私のような出題者の立場としても,時事問題はかなり意識します。
とは言っても,時事問題は,必ずしも重大事件と結びついているわけではありません。
先日書きました市橋容疑者のような事件は,社会科の問題としては出題のしようがありません。強引に,裁判員制度にからめて「裁判員制度では重大な刑事事件の裁判を行う」という内容で出題することはできるかもしれませんが,事件そのものではなく,関連した事項でしか尋ねられないと思います。
時事問題については,一定の出題のルールがあります。(時事問題に限らず出題には一定のルールがあります。)
ただ,たまに,このルールを無視した出題をされる学校があります。
ですから,絶対ということではありませんが,ほぼルール通りに出題されるようになっています。特に,中学入試では時事問題が大きなポイントとなりますので,要注意です。
受験生の保護者の方たちは,書店で「ここが出る時事問題」のような本を何冊か買ってきて,さあこれをマスターしなさい,と必死になられるようですが,そんな必要はまったくありません。
毎年,有名中学校の入試問題の解答解説を作成しておりますが,そのほとんどは,ルール通りに出題されています。
ミニマム・アクセス,道の駅,京都議定書など,環境や生活に深く関係しており,なおかつよく話題になっているものに限っております。言葉としては,ラクイラのサミットなども出るかもしれませんが,内容を詳しく知らなくても解答できるように出題されるはずです。
また,入試が作成されるのは,思いのほか早いため,年末に何か重大な事件がおこったとしても,それが反映されることはまずありません。
もっとも,流行語大賞に選ばれた「政権交代」と聞いて,それが何のことかまったく説明できないというのは,やはりニュースに関心がなさすぎでしょう。
流行語大賞に選ばれた言葉や,ノミネートされた言葉については,親子で感想を言い合っても良いかもしれませんね。
社会科というのは,日常生活に結びついた教科ですから,生活していく中でさまざまなことを学んでほしいものです。
道の駅の数を都道府県別に覚えているのに,現在の内閣総理大臣の名前も知らないというようなことがないようにしてほしいと思います。
みなさんは,いかが思われますか。