平均点と偏差値について

センター入試も終わり、教科ごとの平均点が話題になっています。
さて、さまざまなテストにおける平均点の目標ですが、ここ数年の間にだんだん低く設定するようになってきているように思います。
以前は、当り前のように60点を目標としていましたが、最近は、少なくとも模擬テストや実力テストで60点の目標はまったく見られなくなりました。高くて55点で50点程度のものも多く見られます。中学入試などでは40点台のものもあります。
平均点が高いテストというのは、満点をとっても偏差値が75に達しないことが多く、また、満点も何人も出てしまいます。こうした事態を避けるために、平均点を低めに設定するようになってきたものと考えられます。
塾の公開テストなどでは、誰でも正解できる、明らかなサービス問題をつくらないようになってきました。恐らく、つまらない問題だと思われるのを避けるためだと考えられます。しかし、そのために0点を取ってしまう生徒も出てしまいます。
こうした動きは、生徒側の立場に立ったテストになっているかというと、そうではないように思います。突き詰めれば、実施側、指導者側の都合によるもののように思います。
確かに、成績下位のものに配慮した模擬テストや実力テストというのは存在しないかもしれません。また、学習不足の生徒は、少しぐらい問題が難化したり、易化したりしても、ほとんど点数に影響はないと思われます。つまりは、平均点を動かすのは成績が上位の生徒であることは事実です。
ただ、さまざまな問題を見ていますと、生徒の答案を想定していない、生徒の実力をはかるのにふさわしくない問題も多々見られます。
こうした問題の多くは、平均点の前後にほとんどの生徒が集まる団子状態になってしまい、成績分布がいびつになります。きれいなカーブを描かなくなります。
これは、生徒のためになるテストとは言えないと思います。なぜなら、実力を正しくはかることができなくなるからです。
ところで、偏差値は、よく悪の権化のように言われますが、偏差値そのものは、成績をはかる上で絶対に必要なものであり、これなくしては志望校を適切に選ぶことができなくなります。
偏差値が問題となるのは、それによって学校や、はては人間にまで序列をつけてしまうことだと思います。けっして偏差値の高低が、そのまま学校の優劣や人間性の優劣につながるはずはないのに、多くの人が勘違いをし、信奉してしまっていることによります。
今年度は、公立高校の入試でも、県によっては大幅に平均点が下がったところがあります。
成績上位の生徒が正解しにくい問題が多くなると、このように、たちまち平均点が下がります。
こうした傾向が何を意味するのか、私自身も、もう少しさまざまなことを考えてみたいと思います。
みなさんも、平均点の低下や偏差値について、是非とも考え、ご意見をくださることを望みます。