学力テストの抽出実施について

全国一斉の学力テストを廃止し,ランダムに抽出して実施し,経費を削減しようという案を政府は提示しています。
都道府県や都市ごとの成績を比較し,競争をあおるのはいかがなものか,という発想が根底にあるようです。
私たちが子どもの頃は,何でも競争であり,競い合うのが当り前になっていました。
しかし,現在は,ある小学校では,足の遅い子がかわいそうだからと,全員一緒にゴールする運動会を行っているということを聞きました。
競争=悪,という図式はいつ固定化されたのでしょうか。
生まれてから死ぬまで競争がなくなるのなら,それも良いかもしれません。
しかし,いずれは,もっと過酷な競争にさらされます。そのとき,実力も精神力も身についていないなら,もっと悲劇的な状況にならないでしょうか。
見せかけの優しさは,実は残酷なものだと思います。
さて,話を戻して,学力テストですが,抽出実施であっても,テレビの視聴率調査と同様に,ある程度正確なデータを得ることはできると思います。
ただ,他に比べて,劣っているという客観データが出たときに,地方自治体が本腰を入れて学力向上の対策を立てようとするのはどちらでしょうか。やはり全員が受けたときではないかと思います。また,穿った見かたをするなら,本当にランダム抽出を厳密に行うことができるのか,ということです。今でも,一部では,成績の悪い子は,学力テスト当日に欠席してくれるように働きかけている,というのも噂としては聞きます。
ならば,ランダム抽出で,何らかの作為が施されないという保証はどこにもないでしょう。
経費は,かかるかもしれません。しかし,競争を避け,理解度が不足していることから目をそらしてきた結果が,今日の学力の低下を招いているのではないでしょうか。
大阪府のある自治体では,中学生用に市庁舎の一部を自習室として開放し,さらに教職免許をもつ職員が指導にあたることまでしようと発表しています。
こうした取り組みが始まるのも,学力テストによって理解度の差が歴然と知らされるようになったからだと思います。
教育にかかる費用を削る国家に,真の発展はないと思います。
みなさんは,いかが思われますか。